最近は、LINE、フェイスブックなど、SNSでのつきあいが広がったおかげで、いつも誰かとつながっていられます。ところがそれが、自分を苦しめてはいませんか。
ネットからの情報は、視野狭窄的なところがある上に刺激が強いものが多く、どうしても依存的なところが出てきます。極端な言い方で、それを「デジタル麻薬」という言葉で置き換える人もいるくらいです。
特にその極端な形がオンラインゲームで、はまったりすれば、昼間はボーッとして、夕方になるとようやく元気を取り戻し、夜になると頭が冴えわたる。その冴えた頭で深夜遅くまでゲームに没頭することになる。
下は中学生から、働きざかりのビジネスマン、あるいはクリエイターの人たち。私の知っている患者さんは、うつで休職中で、休んでいるのにいつまでも改善の兆しがないので一日の行動表をつけてもらったら、夜11時過ぎから明け方3時頃までオンラインゲームに没頭していました。これでは症状がよくなるはずもありません。
人間は昼間は起きて働いて夜は眠って休むというリズムで生きてきました。だから、仕事中毒(ワーカホリック)、買い物依存、ギャンブル依存、ゲーム依存などと言っても、昼間の仕事や買い物、ギャンブルだけなら、それなりに限度があったのです。
けれど、今の時代はネットで仕事も買い物もギャンブルもゲームもむしろ真夜中に行われます。そして、そこは他人の監視の目のない自由の天地です。そこでは、依存症は全生活を破壊するくらいの勢いで押し寄せてくるのです。
LINEの既読スルーを非難されないため、着信音を目一杯にあげて夜中に何度も目を醒まして寝不足に、とうとう不登校になってしまう高校生もいます。
昼間の感情をもう一度冷静になって見つめ直すのが、夜の働きです。そのためには睡眠は重要な要素なのですが、その睡眠が着信音によってコマ切れにされてしまうとなれば、心も体も文字通り、コマ切れにされてしまうのです。
ネットで「いっぱいいっぱい」になってしまっている悲劇についても考えてみたいと思います。
院長 高橋龍太郎著書『仕事も人間関係も「いっぱいいっぱい」にならない方法』より抜粋
高橋院長のひと言
ネット社会で生き抜くには、夜の睡眠がとても大事。
睡眠を削って、ネット社会に過剰適応しようとすると、むしろ疲労感が増すばかり。かえってネット社会不適応をおこしてしまいます。
タカハシクリニック 院長 高橋龍太郎